概要
今回は私のバイク紹介の4回目、スーパーカブ70です。年式は1993年だと思います。
これも他のバイクと同様に
- 改造は必要最低限に抑える
- なるべく純正パーツを使う
- 長所を伸ばす
- 短所は気にしない
という考え方で仕上げました。後半で90と比較します。
カブ70の仕様
基本的にノーマルです。特にカブの場合は長所である実用性を重視しました。エンジンは吸排気も含めてフルノーマルです。
ブレーキ強化
最大の変更点はフロントブレーキ強化です。簡単に言えばカブ70最終型に装備されていた大型ドラムブレーキ、通称デカドラムを組み込みました。
これについては別記事に詳しくまとめました。こちらへどうぞ↓
スプロケット変更
ノーマルのカブ70の減速比(14×36)は少し低過ぎな気がします。計算上はピークパワーの7000回転で約59.4キロです。
実際に走ってみると平地無風なら60キロを越えてもエンジンは悲鳴を上げながら加速します。
実際には下り坂や追い風で70キロ以上になる事もありますからね。これではエンジンに悪いです。
欲を言えば50の4速(タイカブの4速ギアのみ別途必要)のパーツで4速化したいんですが、それはちょっと大仕事になるので現時点ではやっていません。いずれやりたいですね。
とりあえずファイナルだけですが、タケガワの30Tのドリブンスプロケを入れました。色々試したんですが、この位大きく変えないと殆ど変化が無かったので。
選んだ基準はスチールの焼き入れによる耐久性です。カブですからね。アルミで多少軽くなっても、すぐに擦り減ってしまうようでは実用性が下がります。
タケガワさん、リアサスの記事でディスってごめんなさい。このスプロケ、素晴らしい耐久性です。
このスプロケでたぶん3万キロ位走りましたが、まだ交換時期になりません。ノーマルのチェーンケースの恩恵もあると思いますが、素晴らしい耐久性です。
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そして、その30Tと組み合わせるドライブスプロケットは色々試した結果、15Tにしました。
ただし、30Tと15Tの組み合わせは本来ならお勧めしません。同じ所が当たる回数が増えるので耐久性が落ちます。
私の場合、それを試す意味も含めて敢えて付けました。予想以上に長持ちしてますが^^;
勿論、1番の理由は自分の走行ペースに合ってたからです。
このセッティングで計算上は7000回転で76.3キロ。実際には高回転域の伸びも使えば85キロ前後まで伸びるので幹線道路で流れに乗る事も可能になります。
発進加速は多少鈍くなりますが、不便と感じる程遅くはなりません。
ドリブンは30Tがお勧めですが、ドライブはまずノーマルの14Tを試してみて、そこから微調整する事をお勧めします。
ドライブなら安いですからね。2〜3個買っても大した金額にはなりません。因みに交換する時は前後スプロケとチェーンの3点セットで同時交換しましょう。
セッティング中のパーツが摩耗してない状態なら別ですが、3点セットのどれかが摩耗してるのに他のパーツを新品にすると折角の新品がすぐに摩耗してしまいます。
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耐久性のあるチェーン
チェーンも耐久性重視で選んでいます。チェーンケースがあるのでタイヤの跳ね上げた泥が殆どかからないカブの場合は、純粋にチェーン自体の耐久性だけで選んだ方が良いようです。
メンテ中の写真ですみませんが、チェーンはD.I.Dの420DSを使っています。
チェーンも色々試した結果、カブにはプレートの厚い強化タイプが良いようです。ノンシールです。
シールチェーンも使ったんですが、ノンシールでも良いのでプレートが厚い方が長持ちしました。
考えてみれば、シールリングはゴムですからね。ゴムより金属のプレートの方が変化に強いんでしょうね。
まぁ、多少チェーンが重くなっても気にならないビジバイだし、チェーンケースの恩恵でシールが無くてもチェーングリスに泥が入り難い、というカブならではの選び方ですね。
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ハンドルカバー
ここからは単なる装備品ですが、カブにとって最重要とも言えるのがハンドルカバーです。ダサい!と思ってずっと躊躇してました。
冬の雨の長時間走行で、どうやっても少しずつ雨が染みてくる・・・耐え難い冷たさ・・・
もっと高機能な防水防寒グローブは無いのか?と何度も冬用グローブを買い替えて・・・
ゴアテックスの高価なヤツだと雨は染み込まないけど指先が冷え切って痛くなったり・・・
もう無理!・・・カブならダサくても似合うんじゃないか?と買ってみたハンドルカバー。
世界が変わりました!なんで郵便屋さんがハンドルカバーを付けてるのか良く分かりました。
あれほど苦労した冬の雨の地獄は何だったのか⁉︎今では雪が降りそうな気温の冬の雨の夜でもグローブ無しで大丈夫です。
カバーと皮膚の間に空気の層がたっぷりある事がここまで効果絶大だとは知りませんでした。
そして驚いたのは夏でもハンドルカバーを付けっぱなしで過ごせた事!
冬に温かいなら夏は外さないと、と思っていたんですが、その必要はありません。
勿論、暑い事は暑いんですが冬と違って夏は血流が良くなります。手が多少暑くても全身の他の部位から放熱するので、そこまで気になりません。
さらに35度を超えるような猛暑日だと直射日光を浴び続けるよりカバーに守られていた方が手が涼しかったりします。
グローブだとグローブ自体が熱くなったりしますが、カバー内の空気の層が緩和してくれてるんですね。
私が買ったのは「リフレクター防寒ハンドルカバーRH-1」という物です。取り付け方は原始的な紐で括り付ける方式ですが、その方が汎用性が高いと思います。微調整もしやすいし。
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前カゴ
そして1度使うと癖になるのが前カゴです。スポーツバイクに乗っていた頃は荷物はリアバッグに全て詰め込むしかないので諦めていましたが、やっぱり便利なママチャリ感覚!
最も重宝するのは曇りの日にポンチョを入れたり、季節の替わり目にウインドブレーカーを入れておく時です。
他にもリアのケースだと微妙に入らないサイズの物をゴムバンドで括り付けたり等、ハンドルカバーと同様に「こんなに便利ならダサくてもいいや!」というカブ沼にハマる事が出来るアイテムです。
前カゴを選ぶ際はバネ式荷物押さえバーが付いているタイプを選んで下さい。50〜60キロ位になると走行風も強くなり、軽い物は簡単に飛んで行きます。
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カブに似合うリアボックス
運搬バイク、スーパーカブの真の主役はリアの荷台スペースかもしれません。蕎麦・寿司・新聞・郵便・書類、みんな荷台をフル活用しています。
もし、二輪タクシーとか出来たら荷台にフカフカの椅子が付くんでしょうか。いや、それならゴールドウイングかな^^;
私の場合、主に工具やスペアチューブ・プラグ、予備の雨具・防寒具、その他小物を入れています。
カブのリアボックスと言えば銀行の営業カブに付いてる鉄の箱、というイメージですね。
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この銀行箱、定形物を入れるなら非常に良く出来てると思います。書類を運ぶなら基本的に四角いでしょうからね。下手に丸っこい箱では書類が皺くちゃになります。
それと蓋が薄いのでスペースを無駄なく使えるのは、今でもちょっと羨ましいです。
積載系のカブ主さん達に人気なのが、アイリスオーヤマRVボックス等のアウトドアボックスです。容量優先ならベストな選択だと思います。
アイリスオーヤマの商品説明にも「本体底部にはバイクの荷台などに固定する場合に便利なベルト穴が付いています。」なんて書いてあります。
カブ主のニーズをちゃんと考えてくれてるようです。もしかしてアイリスオーヤマの社員さんにもカブ主さんが居るのかも知れませんね。
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私の場合は工具や雨具を入れっぱなしにしたまま、
トコトコ散歩や・・・
ウイリー、ジャックナイフ、ハングオン、
カフェレーサーごっこ・・・などなど。
いろんなバイクで遊びたいので、箱だけワンタッチで入れ替えられるGIVIを使っています。
125cc以下ならファミリーバイク特約で複数台所持しても任意保険料は変わりません!それを満喫する小道具がGIVIという訳です。
用途に寄りますが、取り回しや重量と容量のバランスを考えると小型バイクには30Lくらいまでの大きさのケースが軽快に動ける限界だと思います。
30Lの容量ならキャンプツーリングは無理ですが、温泉旅館に泊まる程度のツーリングの荷物は入ります。
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スーパーカブ70の走行性能。カブ90との比較。
では、ここからカブ70がどんな走りをするのか?について解説します。
タイトルにベストバランスと書きました。これは90と比較した場合のギア比とパワーの事を言っています。
私は90を所持した事はありませんが、友人が持っていました。不調を修理してくれればその代わりに暫く貸してくれると言うので暫くの間、借りていた事があります。
その時の記憶なので70と同時に乗って比較した訳ではありません。不正確な部分もあるかも知れませんがご了承下さい。
70と90の出力特性
90のパワーカーブは、まるでモンキー(50)をそのまま大きくしたような、低回転からフラットなトルクのある特性です。
ただ、超低回転での粘り強さはモンキーには及ばない印象です。恐らく圧縮圧力に対するフライホイールの慣性重量がモンキーの方が大きいんだと思います。
これに対しカブ70は高回転型です。ドリーム50のような超高回転でパワーを絞り出すという意味ではなく、裏路地がメインステージのカブというキャラにしては低速トルクが無いという程度です。
カブ90や50、またはモンキー50はボアよりストロークの方が大きなロングストロークエンジンです。
これに対し、カブ70はストロークは50と同じ、ボアは90と同じというショートストロークエンジンです。
共通部品が多いので純正チューンが好きな私には有り難いエンジンですが、引き換えにカブ70 は路地裏バイクとは到底思えない「ブン回して気持ち良い!」ちょっとした2ストみたいなエンジンに仕上がっています。
ギア比
70も90も3速ミッションですが、90は2速と3速が離れ過ぎているような気がします。
例えば長い上り坂の途中で、2速じゃ吹け切っちゃうんだけど3速じゃ回転が落ち過ぎて失速しちゃう、という事がありました。
70は90に比べるとクロスミッションです。
サービスマニュアル記載のギアレシオは
- 1速・70は3.272、90は2.833
- 2速・70は1.722、90は1.647
- 3足・70は1.190、90は1.045
となっています。
乗った印象は1-2速の繋がりはそんなに気にならないんですが、90の2-3速は登坂時に気になる事がありました。
平地では全然平気なんですけどね。そもそも90の方が低中速のトルクがあるので、色々な斜度での登坂力は90の方があるはずだし。
振動
エンジンの振動はさすがに70の方が少ないです。ショートストロークなので当たり前ですが特に差が出るのは高回転で長時間巡航する時。
要はツーリングですね。長距離を走る時は幹線道路をそこそこ速いペースで巡航する事が多いですよね。
限界性能はもちろんパワーのある90の方が上なんですが、振動も含めて考えるとただ綺麗にブン回ってくれる70の方が楽だったりします。
好みの問題でしょうね。私は全開固定でブン回すとライダーズ・ハイで気持ち良くなってしまうおめで隊脳みそなのでそう思うのかもしれません。
本田宗一郎
嘘か本当か知りませんが、カブ70は本田宗一郎が携わった最後のバイクだと言う噂を聞きました。
もしかして、これは本田宗一郎の置土産なんでしょうか。
奥さんが自転車で重い荷物を運んでいるのを見て「女性でも乗れるバイク」を考えた本田宗一郎。
蕎麦屋が左手で蕎麦を持てるようにウインカースイッチを右に付けた本田宗一郎。
このエキサイティングな高回転カブに込められた意味は?
「蕎麦屋だってエキサイティングなマシンの方が楽しいだろう?」という宗一郎さんのお茶目なおふざけでしょうか・・・(^^;;
まとめ
冗談はさておき、ビジネスバイクとして優れているのは間違いなく70より90です。
高回転時のパワー差は少ししかありませんが、裏路地で重要な低速トルクの差が大きいからです。
高回転型エンジンの方が速い状況なんてサーキットと最高速チャレンジだけです。
そのサーキットですらタイトコーナーが多いコースだと中速トルクタイプの方が速い事があります。
一般道なら尚更です。入り組んだ道なら所要時間も多少変わるかも知れません。
とは言え、そこだけを重視するならスクーターに敵いません。
今の時代に鉄カブに乗ろうなんて人は、
- キャブ の吸気音を聞いて
- ショベルヘッドでもないのに不整脈動アイドリングに聴き惚れて
- 鉄の手触りに高度成長期の趣きを感じて
- 予備チューブとタイヤレバーをカブ箱に入れ
- フロントブレーキでぴょんぴょんホッピングして
- 暗くて淡い色のライトを見て昭和の楽しかった日々を思い出し
- 「チョークは全部引ききらないのがコツなんだよ」等と若者の失笑を買い
- スポークを一本一本ピカールで磨き、輝くホイールを見て気持ち悪い笑みを浮かべるような
私と同じ変態なんだと思います。
鉄カブもそろそろ中古車相場が新車時価格を超え始めましたね。骨董趣味です。
でもショベルやZⅡより遥かに安く、それでこんなに楽しいならコスパの良い趣味だと思います。
では今回はこの辺で。
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