概要
今回は、ホンダ横型エンジン、モンキーやカブ系エンジンのエンジンオイルはどれが良いのか?
このテーマで現時点での頂上決戦です。
と言っても私が乗ってフィーリングが良かったというだけの単なる主観です。それでも良いという方、稚拙な文章ですがご了承下さい。
比較するのは「スピードハートのmini10w-40」VS「ヒロコーの4ST Special Extra Version 10w-40」です。
今回はモンキーのエンジンオイルをヒロコーからスピードハートに交換します。
今まで使ったオイルいろんなオイル
今まで横型エンジンで試したオイル、特にモンキーにはホンダ純正オイルに始まり、激安オイル、並行輸入オイル、殆どの有名メーカーのオイル、安いのから高いのまで色々試しました。
また、モンキーがウチに来てからの約20数年の間にオイルを作る技術も進歩しています。
オイルの性能もさる事ながらオーバーホール無しで数万キロ走り続けているモンキーの耐久性を賞賛するべきかも知れません。
(1万キロのオドメーターが何回転目なのか覚えていません。10回転はしていないと思いますが)
数度の事故と無数の転倒もやらかしましたが、壊れなかったのでパーツ交換していません。前カゴがひん曲がったので手で戻しただけです。
車体も丈夫なんですよ、モンキーは。軽くて小さいから衝撃時の応力も小さいんでしょうね。そういう丈夫さではオフ車より丈夫です。
モンキーの小さなエンジンはエンジンオイルにも優しいです。ノーマルなので3.1馬力しかありません。
キャブ時代のカブ50は5馬力あります。→ホンダ公式サイト
エアクリーナーとマフラーの容量のせいでしょう。キャブはほぼ同じなようです。
カブ50のキャブは弄った事が無いのでksyellowmonkyさんのブログを参考にさせて頂きました。
相当なキャブ好き加減が伺えます。もしかすると私のようにキャブを枕元に置いて一緒に寝ちゃうような方かもしれません^^;
純正キャブじゃないと出せない味があると思います。高回転高出力のレーシングキャブとは相反する少ない吸入量だからこその低回転での粘りのような。
粘るエンジンはトコトコ散歩が気持ち良いです。
おっと!話が脱線しました。今回はオイルの話でした。
エンジンオイル劣化の原因ワースト3
パワーが少ないって事は発熱量も少ないって事です。
エンジンオイルを劣化させる原因の上位は、
- 水分や燃料の混入による希釈
- ブローバイガスに含まれる硫黄酸化物などによる酸化
- 高温による添加剤の劣化
です。走り方や環境によっても変わるのでサーキットや湾岸ミッドナイトが好きな人は"高温"がダントツトップになります。
こんなエンジンだと、この高温による劣化が発生し難いって事です。極限までブン回したりカスタムしたら話は変わりますが。
化学合成油ならベースオイルは高温に強いですが、添加剤は高温に弱いです。
よく「油温が120~130度になったオイルはもうダメだ」なんて聞きますが、鉱物油でもない限り、ベースオイルは、その程度の温度ならへっちゃらです。
ベースオイルだけならエステル系で350度、PAO系で250度くらいまで耐えられると言われています。
因みに添加剤ってのは、市販の添加剤じゃなくてエンジンオイルに元から入ってる添加剤の話です。
ベースオイルに色々な添加剤を混ぜる事によってエンジンを守る為に必要な性能を確保してるので添加剤は重要です。
ワコーズとヒロコーの印象
さて、今回はモンキーのエンジンオイルをヒロコーの4ST Special Extra Version 10w-40からスピードハートのmini10w-40に交換します。
前回はワコーズのトリプルアールからヒロコーに交換しました。
そしてヒロコーを入れてから約千キロ走りました。
このヒロコーのオイル、他の化学合成油と比べても良いオイルでした。
今まで入れたオイルは千キロ走るまでの間に、メカニカルノイズが増えたとか、回転上昇が妙に軽くなったとか、シフトの感触が固くなったとか、何かしらの変化があったんです。
ワコーズのトリプルアールは良いオイルでした。千キロ走ってもメカノイズも無く軽く回ってくれました。
軽く回り過ぎて不安になるほど。リッター¥3000以下(実売価格)のオイルの中では最強かも知れません。
しかも走行千キロですから、まだまだ使えるレベルですが、エンジンオイルの場合、変化=劣化なので交換してました。
この場合の変化はオイルを入れた直後より吹けが軽くなった事です。
でも、ヒロコーの4ST Special Extra Version 10w-40はその変化がありません!
少なくとも千キロでは。まぁ、トリプルアールより少し高いですが。
特にこのエンジンはオイルフィルターが有りません。正確には遠心フィルターというのが付いてはいるんですが、大きめのゴミを取り除く程度の物なので、変化のあるオイルは早めに交換したくなります。
ヒロコーは新品の頃と同じように下から上まで綺麗に吹け上がり、メカニカルノイズも静か。
メカニカルノイズって、金属同士が当たるから音が出る訳ですからね。多少当たっても大丈夫なんですが精神衛生的によろしくありません。
50ccと70ccの発熱量はけっこう違う
リッターあたりの価格はスピードハートよりヒロコーの方が少し高いので全く平等な比較じゃないけど、ほぼ似たような価格帯って事で。
カブ70には既にmini10w-40を入れてます。
今のところヒロコーに並ぶ位、好印象です。
となれば、ホンダ横型の為にあるような、600ccと800ccのラインナップのあるオイルを横型で徹底的に試してみたくなるのが人情ってもんです。
で、今回、モンキーにも投入です。カブは70ですがモンキーは50です。パワーはもちろん違いますが、発熱量も違います。
暖機の時に違いが分かります。
冬の朝、二台同時にエンジンをかけます。
カブ70はタバコ1本吸う間にヘッドがほんのり暖かくなってきます。
その頃モンキーのヘッドはまだヒンヤリしたまま。
タバコをもう1本吸い終わる頃には、カブ70のヘッドは素手で触るのを躊躇うほど熱くなり、クランクケースカバーがほんのり暖かくなってきます。
その頃、50のモンキーはやっとヘッドが少し暖かくなって来たかな?という程度。
70と50はアイドリングだけでこれだけ差が出ます。全開走行したらかなりの差になるでしょう。油温計が欲しくなります。
50ccの特にノーマルの場合、発熱量が少ない事でメリット、デメリットがあります。
メリットはもちろん、高熱による弊害が少ない事です。
例えば高熱耐性の弱いオイル、要するに鉱物油を使っても油膜切れなどを起こしにくいとか。
鉱物油の熱耐性は110~120度位までと言われています。
120度なんてXR100モタードで高回転を暫く維持すれば数分で到達します。130度になる事もありました。
間違っても鉱物油は使えません。
この頃はサーキット通いだったので油温計を付けてました。
因みに昔乗ってたXR600でサーキット走行すると簡単に140度位になりました。
そこでマイクロロンを入れて同じコースを走ったら120度まで下がった事がありました。
マイクロロンをAmazonで見てみる↓
化学合成油なら物によりますがPAO系で200~250度位、エステル系なら300度以上までベースオイルは耐えられると言われてます。
その温度だとエンジンオイルに含まれる添加剤はアウトですが、ベースオイルが無事なら、その場で焼き付く事は避けられます。
空冷こそ化学合成油を使うべきだと思います。回す場合ね。低回転でドコドコするなら話は別です。
モンキーにスピードハートを投入
それじゃモンキーにスピードハートmini10w-40を入れてみましょう。
恒例のオイル量チェック。
ちょうど千キロ走ったヒロコーの4ストスペシャルエクストラバージョン10w-40のオイル量を確認します。
オイル量をフィラーキャップの油面ゲージで見ると
入れた時はチェッカーの上端まで入れたはず・・・少し減ってる?
次はオイルを抜いて匂いをチェック。
空キックしたり、車体を右に傾けたり暫く待ったりを数度繰り返してオイルを抜ききります。
オイルが出て来なくなったら忘れる前にドレンボルトを締めちゃいましょう。ちゃんとトルクレンチでね。
トネのトルクレンチをAmazonで見てみる↓
トネと聞いてピンと来た人、相当なメカ好きですね!この話はキリがなくなるので雑談カテゴリーで話します。
で、抜いたヒロコーですが、ガソリン臭さは僅かに臭うかな?という程度。
くたびれてるエンジンなので多少はしょうがないですね。
以前、安価なオイルを使ってた時期に、かなりガソリン臭かった事があるので、それに比べたらガソリン臭は少ないようです。
キラキラ光る金属粉は無し。オイルを指に付けて粘度チェック。
お!?引っかかり感も無いし、指紋のザラザラ感も感じない。
色はしっかり黒くなって汚れをオイル内に吸収してるみたいだけど、粘度は殆ど低下してないような気がします。
これなら、もう少しオイル交換スパンが長くても保つかも。
今回の使用後チェックで唯一気になったのはオイル量が減ってた事。
多分、オーバーホール無しで長年走り続けたエンジン側がヘタって、クリアランスが広がってオイルも多少は燃焼したんだと思います。
スナッピングでも少し白煙出てるし。
そのクリアランスの広がったエンジンなのにあまりガソリン臭くならないと言う事は、強い油膜でしっかり密閉出来てたって事でしょ。
以前、ガソリン臭かった時は、ハイドロクラッキングオイル(ちょっと高級な鉱物油)だったから。
鉱物油と化学合成油との差は、こんな所にも出るようです。
ではスピードハートのmini10w-40を入れます。
既にカブに入れてあるので2度目ですが、相変わらず綺麗なワインレッドですね。
匂いは、草原みたいな香りに少し甘さが混じったような仄かな香り。
オイル変態としては、このままテイスティングしたくなりますが、グッと堪えます。
規定量入れて油面確認したら、ちょっと少なかったので規定量上限ピッタリまで入れます。どうせ少し減るし。
エンジン掛けてヘッドまでオイルを回し、エンジン切ってオイルが落ちて来るのを待って再度油面確認。
そして指に付けて粘度チェック。
新品なので当然ですが、良く滑り、引っかかり感もありません。
指で擦った感触としては、ヒロコーと同じくらいかな。
となると、千キロ走った後にどう変わるか?ヒロコーは粘度低下はありませんでした。
厳密には劣化しないオイルなんてありませんが、私の指じゃ分からない程度って意味です。
ただ、同じヒロコーでもカブに入れてた飛竜というオイルは劣化が分かりました。
使用後の飛竜を指で擦った時、ギュギュッという引っかかり感があったんです。
指紋のザラザラが少し分かるような感触。
ヒロコーの飛竜は上位バージョンもラインナップしていて、上位バージョンにはヒートカットという添加剤が入っています。
私が使ったのは下位バージョンです。
因みに今回抜いたヒロコーの4ストスペシャルエクストラバージョンもヒートカットが入っています。
言わば元々が上位バージョンみたいな物で、下位バージョンとも言える4ストスペシャルというオイルもあるみたいですが、使った事はありません。
と言う事は、ヒートカットという添加剤の威力が凄いのか?という疑問が湧きます。
同価格対決に拘るなら本来ならヒロコーの4ストスペシャル対スピードハートのミニの方が良かったのかも知れませんが。そのうち検証しましょう。
でも、今回入れるスピードハートのmini10w-40にも燃焼室の密閉性を高める添加剤「フォーミュラミックス」というのが入ってるらしいので、
メーカー公称の「横型エンジン上部のオイル油膜が薄くなる事を考慮した」つまりシリンダーとピストンの吸気側の油膜保持力の強化、という謳い文句を信じる事にします。
因みに、メーカー公式のフォーミュラミックスの説明文には
「強靭な油膜と優れた金属への親和性を発揮する一方、使用オイルのフリクションロスを減少させる効果はありません」
と書いてありました。
つまり、軽く吹け上がる事よりも金属面の保護が優先です、と言う意味みたいです。
横型には合ってると思いますよ。
もともと、一次側クラッチの重さのお陰でレスポンスが鈍い代わりにのんびり走って疲れにくい特性が横型の長所なので、多少レスポンスが遅くなった所で気付かないんじゃないかな。
実走
そんなこんなでオイル交換終了です。実走してみましょう。
実走したのはヒロコーをテストしたのと同じ、お気に入りのいつものコース。
運良く、ヒロコーの時と同じくらいの無風状態。
乗ってみた感じは、
- 低回転でトコトコする気持ち良いトルク感
- プレイグニッションの発生回転数
- 低速から中間域そして高回転域へ繋がるフラットトルク感
- 高回転域での伸び感と最高速度
- 登り坂でのトルク感
- エンジンからのメカノイズ
等の全てがヒロコーの4ストスペシャルエクストラバージョンと大差ありません。
所詮は乗り手の感覚なので厳密には差はあるんでしょうが、私には分かりませんでした。
となると、この新品状態での感触が千キロ走っても変わらないかどうか?が、勝負処ですかね。
今まで、千キロ走ると
- 少しメカノイズが増えたとか
- 妙に軽く吹け上がるようになったとか
- 登り坂でのトルク感が減ったとか
- やたらと上が回るので最高速度は伸びたとか
新品状態からの変化を感じるオイルが殆どでした。海外有名メーカーの高級品も含めて。
それを殆ど感じなかったヒロコーの4ストスペシャルエクストラバージョンは良いオイルだと思います。
そして敢えて「横型用」を前面に打ち出して来たスピードハート!
早く千キロ走った後の結果が見たいけど、だからと言って、わざと遠くまで走ったり、普段と違う走り方をしたりはしません。
極力同じ条件で比較します。その結果は後日追記します。
後日追記。1,000キロ走行後の変化。
スピードハートに交換後1,000キロちょっと走りました。
簡潔に結果から言います。
スピードハートのmini10w-40とヒロコー4ST Special Extra Version 10w-40の比較は引き分けです。
実走した時の
- メカノイズの大きさ
- 滑らかに吹け上がる感触
- 高回転の伸びと最高速
- トップギア低回転でノンスナッチ走行可能な最低速度
- オイルチェックでのオイル量の減り方
- 低温と高温時にギアチェンジのフィーリングに差があるか
という辺りを意識してみましたが差がありませんでした。
(以下、価格は1リットル缶の税抜き定価)
例えば、ワコーズのトリプルアール(¥3,360)とプロステージ(¥2,400)を比べると、メカノイズや滑らかさが明らかにトリプルアールの方が優れている事が分かります。
バイクに乗って日が浅い人でもオイル交換前後ですぐに乗り比べれば分かる程の差があります。
その差を感じられませんでした。
高価なオイルの方が優れているのは当然です。
ヒロコー4ST Special Extra Version 10w-40は1L¥4,000。
スピードハートmini10w-40は0.6L缶が¥2,063なので1L換算だと約¥3,438です。
スピードハートは開封後のオイル劣化を考慮して0.6L缶と0.8L缶を出してくれています。
化学合成油ならレース用植物油(懐かしいな)のように開封後1ヶ月で賞味期限なんて事はありませんが、開封したらそれなりに劣化は進みます。
せっかくちょっと高めのオイルを買ったのに劣化したら大ショックです。そんなユーザー目線に立ってくれるスピードハートの気遣いはありがたいですね。
それも含めて今回はスピードハートの勝ちとさせていただきます。
スピードハートのmini10w-40をAmazonで見てみる↓
0.6L
0.8L
0.8Lはキャブ時代の横型エンジンならオイルクーラー装着車、インジェクションの新型エンジンならオイルのみ交換時の必要オイル量です。
新型はオイルフィルターがあります。フィルターも交換する場合は0.85L必要です。
まとめ
今回はモンキー・カブ系横型エンジンの最高峰オイルを選んでみました。あくまでも個人の主観ですけどね(^^;;
オイルに拘る方は試してみるのも面白いですよ。違いは分かると思います。
一方「もっと安いオイルでいいから頻繁に交換するよ」なんて方もいらっしゃるでしょうね。
近いうちにそういう価格帯のオイル比較もやってみたいと思っています。
また、縦型エンジンが好きな人も居るでしょう。CB、エイプ、XR、ドリーム系の。
私もスポーツ走行なら縦型の方がレスポンスが良くて面白いと思っています。
縦型と横型は得意分野が違う事を如実に表しているのがインマニの形状だと思います。
縦型はいかにも上がブン回りそうな最短距離を結ぶインマニ。
横型は低回転でも気流の粘性を利用せんとする長く曲がったインマニ。
インマニの形状を見るだけでも当時の開発陣の想いが伝わって来ますね。
縦型は横型とは違う弱点もあります。カム周りのオイルが不足しがちな事なんですが、それも踏まえて縦型に合うオイルの比較もいずれやりたいと思っています。
高回転を常用する割に頑丈なホンダの小排気量4ストエンジン。
少しでも長く元気に走ってもらいたいですね。
では今回はこの辺で。
コメント