概要
今回はモンキー50のリアサスの話です。ウチのモンキーはノーマルです。
ノーマルモンキーの長所を最大に活かせるのはトコトコ散歩するような走り方をした時です。
その為のサスの選び方について私なりに思った事をお話しします。
モンキーの遊び方
モンキー(50の方)ってバリバリに改造する人が多いですよね。
気持ちは分かります。あんな小っこいオモチャみたいなバイク。オモチャのクセに自分が乗って走れる!
そりゃあ変化を楽しむ為にいじくり回したくもなりますよ。オモチャなんだから。
ただ、一般に市販されているパーツを使って改造する事は少しずつレーシングマシンに近づけていく事のような気がします。
エンジンのパワーを上げて、それに負けない足周りに換えて、最後はフレームも別物!
それは否定しません。楽しいのはよく分かります。
ここから少しモンキーの話題から離れます。
行き着いたのは公認車検
若い頃、それはそれは色々なバイクに乗りました。そして改造に次ぐ改造をしました。理想のバイクを夢見て。
パワーを上げて軽量ホイール、高性能サスにブレーキ・・・ある時ふと考えました。
「これ、レーシングマシンに近付けてるだけだよな??」
「だったら始めからレーシングマシンに乗った方が早いだろ?」
と思って行き着いたのがレーシングマシン!サーキット専用のレーサーは既にあったので、
通関証付きのレーサーを買って保安部品が作動するように改造し公認車検を取ってナンバー登録しました。
今よりはそういう事がやり易い時代でした。そしてそのレーサーで通勤したりツーリングしたりしました。その結果、分かった事があります。
レーサーは公道では遅い!
遅いというのは語弊があるかも知れません。得意な範囲が極めて狭い、とでも言いますか。耐久レーサーなら良いんですが特にスプリント系のレーサーは。
もちろん、サーキットさながらの走り方をすれば瞬間的には速いし、サーキットはもちろん峠でも水を得た魚です。
でも、そんな事、長期間は出来ません。いろんな意味で。
レーサーという物は限られた条件の中でのみ飛び抜けた性能を発揮できるように作られています。
公道用バイクのように何週間もメンテフリーで走り続けたり、何年もエンジンをバラさず走り続けたり、時速5キロでも時速300キロでも同じスプロケで走ったり、雨の日も同じキャブセッティングで走ったり・・・そんな事は出来ません。
つまり、保守や維持、人間の体力と気力、使い勝手も含めて長期間、楽しみながら走り続けられるか?と言う意味です。
それを考えるとノーマルの公道用市販車のバランスと耐久性は馬鹿に出来ません。
ノーマルモンキーの性能
私はモンキーの走行性能が好きです。速く走る為の性能じゃありません。
それは、速く走れるようにバランス良く設計されたバイクに任せとけばいいのです。
のんびり走った時に、乗り手を幸せな気分にしてくれるか?という性能です。
のんびり走らないと見えない景色。公道レーサーに乗ってた時は見えなかった景色。空気の匂い。
田舎道を時速30キロで走った時の草の香り。ノーマルマフラーだから聞こえる鈴虫の音色。
そういうのんびりした世界がある事は知っているつもりでした。が、しょせんは”つもり”でした。自分の肌で体験してみると
「こんなに気持ち良いもんだったのか!」と。
まるで
金色の野に降り立った青き衣を纏いた不審者に大地との絆を無理矢理結ばされ否応無しに青き清浄の地に導かれた・・・
ような、気分でした。
アメリカンともまた違う
同じのんびり系バイクでも、以前乗ってた大型アメリカンでは、ここまでの開放感はありませんでした。
たぶん、速度域が高い事と、重いので脱力しきれていなかったせいかな?と思います。
もちろん、モンキーより早く遠くまで行けますが、急いじゃったら本末転倒なので。
アメリカンバイク特有の世界もあるので、それはそれで楽しかったですけどね。
まぁそんな感じで、このモンキーに関しては
“のんびり走った時の気持ち良さを極めよう”
というコンセプトでパーツも選ぶ事にしました。
オーリンズに教わった事
オーリンズの記事はこちら
XR100モタードに付いてるオーリンズに教えてもらった事として
“サスは良く動かした方が楽しい”
というのがあります。
オーリンズは調整幅が広いので色々なセッティングを試せます。
サーキットでは速さ優先なので、ある程度ガチガチにセッティングしますが、公道では適度に柔らかくないとゴツゴツした乗り心地になり、軽快さが薄れます。
公道では、その荷重域の中でしっかりストロークさせるように柔らかめのセッティングにした方がオーリンズのスムーズな動きを感じられて車重が軽くなったような気がします。
この柔らかいセッティングが決まると人車一体感を感じられて、乗ってるだけで楽しくなります。
ノーマルと武川の比較
(注:ここに出てくる一万円の武川サスは、当時まだ一万円のヤツしか無かった頃の物です。現在はラインナップも増えたようです。)
モンキーは最初はノーマルのリアサスを付けてたんですが、流石に雨でも構わず15年位乗るとスッカスカになりました。
そこかしこでゴツンゴツンと底突きしまくって腰痛になったので、試しに武川のリアサスを入れました。
確かに底突きはしにくくなりました。それでも大きめの段差ではガツンと来る。
バネレートがノーマルより高く、リバウンドダンパーが調整出来ないので、ガツンと来た後のお釣りがデカい!
プリロードは調整出来るんですけどね。プリロードを上げるとフロントとのバランスが悪くなるしガツンとお釣りが上にズレるだけ。
ぶっちゃけ、乗り心地はあまり良くありませんでした。腰痛にもなりました。やっぱりスプリングとダンパーのバランスは大事です。
オーリンズやデイトナは?
そこで再度、リアサスを変えたくなりました。
重視するのは最初のコンセプト通り、のんびり走った時の気持ち良さ、です。
大事なのはバネレートとリバウンドダンパーのバランス。
モンキー用のオーリンズも考えました。
が、超高級品のクセにリバウンドアジャスターが無い。さすがにこの価格帯になるとプリロードとリバウンド調整がセットで欲しくなります。
次に候補に挙がったのはモンキー乗りの間で好評なデイトナのリアサス。
リバウンドアジャスターもあるし、ストロークも少し伸びるみたい。
これは良さそう、と思ったら元々はラインナップのあった赤スプリングが生産中止!
モンキーは可愛らしいペットですから、見た目も大事です。
武川の赤スプリングはノーマルの赤タンクに似合ってて色はお気に入りでした。
怪しげな某国で作ってそうな安物サスは除外すると、残りはノーマル?
結局ノーマル
ノーマルなら年式違いなら赤スプリングがあります。
流石にヘタる前のノーマルの乗り心地なんて、もう昔の話なので何となくしか覚えてないですが、天下のノーマル、バランスは良い筈。
ノーマルに決定です。
で取り寄せたノーマルサス。ホントはこの色のモンキーのノーマルはシルバーメッキなんですが、赤スプリングが好きなのでキャブ車の中で色違いのこの色にしました。
スプリングの線径が武川は6.2ミリ、ノーマルは5.3ミリでした。
ダンパーの径は武川は32ミリ、ノーマルは18ミリでした。32ミリとは太いですね。容量はある筈なのでセッティングの問題かな?
取付時、ネジ山にグリスを塗ったので締付トルクはとりあえず2.5キロ。緩むようなら増し締めします。
ノーマルvs武川比較インプレ
(注:さっきも書きましたが武川は一万円のヤツです。当時はそれしか無かったので)
武川とノーマルとの違いを感覚を忘れる前にインプレします。
以前、スカスカに抜けたノーマルサスを付けてた頃によく底突きしてた近所の段差。
武川だと底突きはしないけど、ゴツッとした硬い感触があった後、揺り返しもドンっという硬い感じ。
同じ場所を新品ノーマルサスで越えてみます。底突きはしません。
少しショックはあるけど、角が取れたソフトな感じ。揺り返しもあるけど少ない。
こうしてみると、武川のサスが単に硬いって訳じゃなくて、動きが渋いと言うか、フリクションが多いと言うか、ローション付け忘れた◯◯◯と言うか、少なくともオーリンズのダンパーを硬めた時の硬さとは明らかに違います。
ノーマルサスが柔らか過ぎると思ってたのは、単にヘタってただけで、ノーマルって結構良いサスなんじゃないか?という疑惑。
そういえば、この新品ノーマルサスの価格。左右2本セットで1万五千円位でした。
武川が確か1万くらいだったかな?
デイトナは定価だと3万弱。
巷の安物サスはだいたい数千円。
オーリンズは9万だっけ。
これ見て、ノーマルって高いと思いますか?
何の調整機構も無いのにこの値段・・。
私は安いと思ってます。
サスペンション以外のパーツでも純正パーツってコスパ高いですよね。
理由はもちろん、大量生産するから安く作れる為です。
大メーカーならではの価格設定って事です。
高価なサスペンションの車両に乗った事がある人は分かると思います。
サスペンションの性能とは、フリクションをどれだけ減らせるか?です。
例えばSS系のバイクでフロントフォークが伸縮する時、インナーチューブを締め付けているダストシールとオイルシールが抵抗になります。
この抵抗が強いと、スムーズに伸縮出来ず、小さなギャップを越えた程度では、素早く伸縮出来なくて、乗り手はコツコツという細かい衝撃を感じます。
こうなるとタイヤが地面に押し付けられる圧力が刻々と変わるのでタイヤのグリップ力を100%引き出せません。
凸凹の路面でフルバンクしてるような物です。
だからロードレース用のレーサーだとダストシールが付いてなかったりします。
そこまでやると凸凹な場所を走った時の乗り心地もメチャクチャ良かったりします。
公道でダストシール無しは無理ですが、いいセンいってるのがオーリンズだと思います。
8インチとのバランス
ただ、モンキー用として考えると、あのスイングアームの短さと8インチタイヤでサスの性能だけ極端に良くしても限界があるので、
バランス重視で割り切って乗った方が良い気がして、そこそこの値段でなるべくフリクションの少なそうな物、
耐久性の高そうな物という基準で今回はノーマルを選びました。
因みにノーマルでもステップ擦るような走りも出来るし、極端に大きな段差でなければ底付き擦る事もなく、充分に楽しく走れます。
逆に言えば、大したテクニックを使わず、時速5キロでステップ擦って楽しめるなんて、この車格じゃなきゃ出来ないんじゃないですかね。
因みにジムカーナではこのモンキー、定常円旋回速度だけなら無敗です。わずかでも加速区間があるとボロ負けします(^^)
まとめ
普通の車格のバイクに求めるような要素は捨てて、この小ささだからこその長所を楽しみ、耐久性やバランスを考えたら、ノーマルってやっぱ良く出来てんな、という印象です。
2024年追記。今なら何買う?
もし今、モンキー50のリアサスを買うとしたら・・・
ノーマルサスはコスパとバランスは良いんだけど、プラスアルファを求めると体重に合わせてセッティングしたくなります。
クオリティー(ダンピングとフリクション)は下げたくないのでノーマルより高価になるのはしょうがないです。
ノーマルモンキーなので前提条件としてノーマルの取付長の物(265mm前後)から選びます。
ケツ上がりになるとセルフステアがクイックになってコーナー進入で素早くリーンするようなバイクになっちゃうからです。
このバイクではそれは求めていません。
オーリンズは公式のラインナップから落ちてしまったけどオーリンズならオーバーホール出来ますからね。
オーバーホール前提でオーリンズの中古を探すか、
新品ならデイトナですかね。デイトナはバネの線径もノーマルと同じくらい。て事は段差での跳ね方はノーマルと同程度だと思う、たぶん。
跳ねたとしてもリバウンドアジャスターが付いてます。付けてる人の評判も良さそうだし。
デイトナは長さが3種類ありますが、ノーマルより短いショートタイプはストロークも短いので段差の突き上げは強いと思います。
となると265mmのノーマル長がバランスが良さそうです。
今付いてるノーマルがヘタったら、オーリンズかデイトナのどちらかを買おうと思っています。
・・・新品で買えるデイトナかな〜・・・
デイトナの265mmのリアサスをAmazonで見てみる↓
ちょっとおまけ
ずいぶんバイク業界も変わりましたね。キャブ車は無くなり全てインジェクションに。モンキーも125になり、そろそろ50ccのスクーターの新車販売も無くなるそうですね。
更にABSが付いたり、しかもトラクションコントロールまで⁉︎ジャックナイフやブレーキターン、ドリフト遊びをするなら、これらをカットしなきゃなりません。
最後は全部電動になるんでしょうか。トライアルとモトクロスはもう電動の波が来ているようですね。
キャブレターなんて過去の遺物で遊べる時間も残り少ないようです。
では今回はこの辺で。
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